paris and cinema

ベルギー&パリ紀行(2003.9)
chapter 2 終わらない夏。

 2003年夏のフランスといえば、その記憶は後世に残ることだろう。パリでは普通 8月の平年気温が24℃といわれるのに、この年の最高気温は軒並み40℃を超え、ある報道によれば記録をたどれる過去500年間にこのような猛暑はなかったという。


ヴォージュ広場

 それが証拠に、パリでは普通、暖房はあっても冷房を持っているところはあまりない。パリに住む人の話では、それでなくてもバカンスシーズンで仕事が手に付かないフランス人が、職場に出てきてもただぼーっとして、帰るととりあえず水をあびて嵐の通 り過ぎるのを待ったという。 ウソかまことか、これまたバカンスシーズンで葬儀屋さんがフル稼働せず、安置できない亡骸をスーパーの冷凍倉庫に一時保管したというウワサもあった。(あるフランス人は「それは聞いてない。」とウワサを全否定したが)。


 9月になってフランスの保健省のおおやけの発表ではこの夏に全国で猛暑が原因で亡くなった人の数は約1万4,000人とされた。ちなみに日本では1ヶ月に亡くなる人の数は約8万人というから、人口がその約半分のフランスで1万4,000人が余計に亡くなることがどれほどのインパクトかがわかる。


 出発前には、暑さが大の苦手な我々はこれが旅行まで長引かないことを切に願ったが、幸い9月に入って天気予報サイトwww.meteo123.com を見ていると最高気温が22、3℃と、普通に戻って推移していた。


パリのカフェ
9月も半ばを過ぎているのに、半袖かノースリーブの夏すがたが目立つ。

 逆に8月が冷夏だった東京は9月に入って見事に夏が復活し、鳴き忘れた蝉たちが「俺も鳴く、俺も鳴く」と騒ぎ立てていたから、避暑にいくつもりでちょうどいいと、東京をあとにしたのだった。ところがまずブリュッセルに着いてみると、なにやら暑い。パリにつくとこれが東京なみに暑く、天気予報は毎日30℃以上とアナウンスする。街でも店の人が「夏はもういいよ」とお嘆きの様子。もっていった長袖は日除けがわりになった。


 問題は水だ。美術館巡りをするわけではない我々は、そうしばしばトイレに行く機会に恵まれない。エビアンの小ボトルをバッグにいれ、身体が乾かない程度に水をふくんだ。その分、トイレが目の前にあるホテルに戻ると、ヴィッテルの2リットルボトル(近くのスーパーで50セント、およそ70円)を一晩で飲み干す勢いでぐびぐび水分を補給して、乾きをいやした。


 ホテルの近くのアンバリッド前の芝生では、夕方仕事を終えた男性陣が上半身裸でサッカーをし、パリでいま人気のアイスクリーム屋「Amorino」には長蛇の列ができていた。結局最終日まで気温は下がらず、我々は9月ながらふつうのパリの夏を体験したことになったのだった。