cafe time sucre

カフェ・タイム・シュクレは、シュクレの杉浦今日子が、日々の出来事や刺繍のこと、
フランスのこと、もの作りのことなどをつらつらと書き綴る日記です。
コーヒーやお茶を片手に、ひと休みという時間のお供にどうぞ。


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2008.7.30
思い出のレース
 先日骨董ジャンボリーに行って、スゴイアンティーク・レースを沢山見てお腹いっぱいになって帰ってきました。いや〜、やっぱりアンティークのレースはスゴイです。ポワンドガーズだの、アランソンレースだの、マルチーズレースだの、ここはレース美術館か??みたいな素晴らしいレースを沢山扱っているお店があって、思わずドキドキしてしまいました。
 細い細い糸で編まれたモチーフの数々。とても人間業とは思えないものです。
 その技術はもちろん素晴らしいですが、そのレースのモチーフの持つ意味や歴史を聞くと、さらに胸が震えます。どんなに小さなものでも、人が手を動かして作ったものには『物語』があるんですよね。そのひとつひとつの物語が、さらにそのレースに暖かみやきらめきを与えているのだと思います。
 そんな中、わたしが刺繍をまだ始めたばかりのころ、刺繍教室の課題で作ったものにヒジョーに似ているものがあり、思わず買ってしまいました。白い生地に白い糸で、ドロンワークと簡単なニードルポイントレースが施されている、ハンカチの大きさにも満たない小さな作品です。
 ○○年前、わたしが作ったのはドイリーでした。カットワークをして、その中に簡単なニードルポイントレースで模様を入れる・・というものだったのですが、当時、ニードルポイントレースがなかなか上手くできなくて何度も何度も何度もやり直して、それでも結局納得のいくものができなかった・・・という思い出の品です。それまで特に課題で難しいと感じたものがなかったのですが、そこで初めて壁にぶつかり、初めて『辞めようかな・・・』と思った課題でした。
 今でもニードルポイントレース・・と聞くだけで『スゴイ』と反射的に思います。その時の記憶があまりにも強烈に今でも残っているのです。
 先日買ったレースはわたしが作ったものよりもかなり糸が細く全然繊細な作りですが、あの時の記憶が甦りました。まさに、私が挫折感を味わったあの課題とと全く同じ模様だったのです。あの時、本当に挫折してやめてしまっていたら、今の自分がいなかったことになります。なんだか、感慨深いですね。まだ刺繍を始めた頃の初心を忘れないように・・・。今回買ったレースと自分の作品と、大切にとっておこうと思います。

写真は骨董ジャンボリーで購入した作品です。蜘蛛の巣かがりにダーニング・・・。これこそ『トラウマ』の宝庫です。とても繊細な糸でかがってあって、実物見るとうっとりします。

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2008.7.28
特製のたれ
 先日の旅行で出雲大社に行った後、日御碕灯台に行ってきました。この灯台、世界灯台100選に選ばれるほどの、日本が誇る灯台です。煉瓦と石造りの2重構造になっています。(その模様は、灯台内部を見学すると1階で見ることができます)
 駐車場に車を止めて、おばちゃん、おじちゃんが激しく呼び込み合戦をする(ほんっとーに激しく・・・というか、ちょっとしつこい・・というか、かなりしつこい。若者風に言うとうざい・・・という感じでしょうか?)土産物屋兼お食事処が両脇に並ぶ小道を抜けると、白く美しい一本気な灯台がぬうぅっと姿を現します。その全容は、本当に美しい。石造りであるということももちろんですが、その白さと、海に向かってそびえ立つ姿と、背後には緑豊かな風景と、その土地を全て含めてなんとも美しいという形容がぴったりでした。もちろん、灯台には昇りました。今も稼働している灯台なので、昼間の灯台が休憩中の時間だけ、中を見学することができます。くるくる螺旋階段をひたすら昇っていくのですが、途中にはさすが灯台、海上保安庁の『海のもしもは118番』(このコピーは思い出のコピーなのです。)のポスターがあったり、映画『海猿』のポスターが貼ってあったり。えんえんと続く螺旋階段に腰が引けながらもなんとか登り切り、外に出るとそこには日本海!!(ざっぷーーん!!勝手なイメージですが、日本海はいつも波が荒い気がする)この土地独特の岩肌と、遠くの水平線と、恐らくサークルの合宿かなにかできたのであろう若者たちのはしゃぐ声。近くにいたおばさんと『若者はいいねぇ』なんて会話をしながら、しばし高見の見物を楽しみました。
 その前に昼食をとったんですが、海鮮丼を食べたんです。私は普段とても優柔不断で、なかなか食べるものが決められない女なのですが、この日もそうで『おそばもいいな・・・でも、そば屋じゃないしな・・・親子丼??おいおい、日本海が近いのに?』なんて具合でなかなか決まらず、最後の決め手は海鮮丼の説明書きにあった『当店自慢の特製のたれでお召し上がりください』でした。『特製のたれ』って、ものすごく魅力的・・。『特製』とか、『自家製』とかに弱いのです。というわけで海鮮丼にしたんですけど、この『特製のたれ』。なんと、甘いのです。正直、びっくり。刺身に甘いたれ。醤油とわさび、ときにはポン酢なんかもかけたりしますけど、甘いというのは初体験でなんとも奇妙な感じがしました。美味しくないわけじゃないんだけど・・・。むぅ・・・みたいな。消化不良な感じというか、食事の達成感が半減というか・・・。やはり、味覚というのは慣れてるものが美味しく感じるものですね。いつものしょっぱいお醤油が欲しくなってしまいました。(言わなかったけど)
 その後聞いた話だと、西の方では甘いお醤油(たれ?)をお刺身に付けるところがあるそうです。たしかに、西の方の味付けって、全般的に甘いですよね。私は甘辛好きなので、結構いけるんですけど、さすがに今回の『特製のたれ』はもう頼まないかな??そういえば、北海道の甘納豆赤飯もかなり強烈なものでした。食べれなくないし、マズイとは思わないけど、あえて2度食べようとは思いません。・・・そういいながら、わたしはあんこをご飯にのせて食べます。これは美味しいです。誰も賛同してくれないけど。

写真は日御碕灯台。汚れが落ちる特殊な塗料で塗られているそうです。・・・誰かのブログに書いてありました。

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2008.7.18
妄想づくし
 先日、出雲に旅行に行ってきました。一度は行きたいと思っていた出雲大社。念願叶っての参拝となりました。
 とりあえずスケジュールがタイトだったので、羽田発の飛行機は朝一番の便。出雲空港に着いたのは9時半。正直かなり眠い状態でしたが、なんとか出雲市駅行きのシャトルバスの中でも目を開けていました。
 初めて通る出雲の道。日本の風景らしく、田んぼが続きます。ほんとに、日本はどこに行っても田んぼがありますよね。目隠しをされて連れて行かれてこの風景を見せられて『ここは茨城だよ』って言われたら信じちゃいそうです。・・・ここは静岡だって言われても信じちゃうだろうけど。
 田んぼの中に、首の長いすらっとした鳥が2羽立っていました。鳥と言えばカラスとの戦いの日々をついつい思い描いてしまう東京人には羨ましい、カラスではない美しい鳥の姿。隣に座る夫に『カラスいないよね。いいよね、あんな鳥がいて優雅な景色だよね』というと、夫は『鳥だって大変なんだよ。人間みたいにスーパーとか無いし、毎日食べ物探すのに必死なんだ』と、鳥の日常生活の大変さを主張。
 確かに、スーパーマーケットってあたりまえのようにあるけど、超便利です。・・でもちょっと待てよ。たしかに出雲の田んぼの優雅な鳥にはその可憐さとは裏腹の過酷な食事情がありそうだけど、東京のカラスはゴミ漁り放題で結構楽にいい暮らしをしている気がします。我が家のゴミ捨て場だっていつもカラスに狙われてて、ほんとにゴミ収集車がやってくるまで気がきじゃない・・・という状況です。
 それに白金台にある『自然教育園』。東京には珍しく手つかずの自然が残る貴重な公園ですが、そこに住み着くカラスの数も半端じゃないです。あれだけいると、あそこにはカラススーパーマーケットがある・・って言われたら信じちゃいそうな気がします。
 オバサンカラスが『今日は何かいいものある??』とか、店の親爺カラスに聞いて、『今日は杉浦さんちのリボンと端布があるよ。』なんて答えてたりして。『杉浦さんちのは舶来ものだから、高いけどいいものだよ』・・・なんて会話をしてたりして。おいおい、うちのゴミで商売するな。妄想ながら、腹立たしい。
 ちなみに、カラスはリボンとか端布とか狙ってくるんですよ。巣づくりの材料ですかね?カラス流DIY?・・・神の国出雲に到着早々、くだらない妄想をしてしまいました・・・。

写真出雲大社の参道。ご立派な両側の松が、参拝気分を盛り上げてくれます。ところで、今回出雲、松江などをくるっと回ってきたのですが、そこここに紫陽花が咲いていてとても綺麗だったんですよね。ほんとに、どこに行っても紫陽花があって、ピンクや紫、青の花を咲かせていました。あまりに沢山だったので、もしや島根県の県花??と思い調べてみたら県花は牡丹だそうです。花が咲いていると、ついついカメラを向けてしまいます。今回、紫陽花の写真がとても多いです。

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2008.7.7
カットワークとレースのアップリケ
 先日のコラムで書いたグラニーバッグのサンプルがひとつできあがりました。『出来上がる瞬間』というのは、どんなに沢山バッグを作ってきていてもとても嬉しいものです。
 今回は『カットワーク』と『レースのアップリケ』が課題。ということで、生地がわりと限定されます。あまり厚いものはカットワークには向かない。でもバッグに仕立てるとなると、それなりに厚みが欲しい・・・ということで、生地を2枚重ねて作ることにしました。芯を入れないで、柔らかめのバッグに・・と考えて形はグラニーバッグに。そんなに大きなバッグではありませんが、マチがついて使いやすく、ものを入れると丸くてかわいいバッグです。
 最初カットワークだけと思っていたのですが、今回はレースをアップリケして付けてみました。レースにも色々種類があります。機械の種類が違うそうです。
 大雑把にいうと、レースの機械は『トーションレース機』、『ラッセルレース機』、『リバーレース機』に分かれています。そもそもレースの機械ができたのは、イギリスの産業革命のとき。19世紀です。それまで手でちまちまと作って『糸の宝石』と呼ばれ超貴重品だったレースが、ばんばん機械でつくられるようになった。凄いことです。
 本当にお金持ちのごく一部の人たちの贅沢だったものが、今では一般庶民の下着にまでかわいいレースがばんばん縫い付けられているわけです。それまで手作業でつくるレースはフランスとかベルギー産が珍重されていたのに、レース機はイギリスから広まりました。きっと鼻高々だったでしょうね。1850年代半ばのレース機械所有台数はダントツでイギリスが1位です。ヨーロッパ全体で約7500台だった中の、約5600台はイギリスのものだったそうです。
 ・・ちょっと話がそれましたが、今回使うレースは大それたものではなく、チュールレースのリボンです。その中の模様をカットしながらモチーフを切り出して、アップリケしていきます。レースをアップリケするときのポイントは、とにかく丁寧に、細かくかがること。レースはそれ自体が繊細なものですから、その繊細さを壊してしまわないように、丁寧に縫い付けていきます。糸も100番とか使うといいですよ。繊細さを失わずに縫えます。

写真は本日完成のグラニーバッグのサンプルです。刺繍クラスの方、ぜひ作ってくださいね。もう一つ別の図案でサンプル作成の予定です。2回講座では9月のカリキュラムにしようと思っています。
ところで、今日は七夕ですね。残念ながら東京は雲でオリヒメとヒコボシのランデブーを見られませんが・・。そういえば、笹に願い事を書いた短冊を・・・なんて、ずーっとやってないです。今だったらなんて書くかな・・。やはり、家族の健康かな・・。歳とってきましたしね。現実的です。大人なので。

シュクレ・プリュスのブログ、『First Exhibition「Une Chambre」ができるまで。』展示会は終わってしまいましたが、白金台のことを少しずつ紹介してます。そろそろタイトルを変えた方がいいですかね・・。
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