cafe time sucre

カフェ・タイム・シュクレは、シュクレの杉浦今日子が、日々の出来事や刺繍のこと、
フランスのこと、もの作りのことなどをつらつらと書き綴る日記です。
コーヒーやお茶を片手に、ひと休みという時間のお供にどうぞ。


最新のコラムへ >>
2008.1.28
again and again
本の読み方とか、本の選び方って人それぞれですよね。ベストセラーを選ぶ人もいれば、好きな作家の本を読む人もいる。わたしは気に入った本を何度も何度も読むタイプです。しつこいくらいに読みます。でも、同じ本を読み返してもその時々で感動する場所が違ったり、以前読んだときにはそんなに気にならなかった箇所がとても気になったりする。読んだ時の気持ちに左右されるものだと思うのだけれど、面白いな・・といつも思います。なので、その度に新しい発見があるから、同じ本を読んでいても全然あきないのです。
そんな中、何度読んでも、いつ読んでも、号泣してしまう箇所がある本・・というのがあります。今読んでいる『千年医師物語・第2部・シャーマンの教え』の中にもあって、先日その泣きの場面をすっかり忘れて読んでいたら、唐突にそのシーンが現れて今回も不意に号泣。号泣の後で『そうだ・・・、ここは毎回泣くんだった・・・』と思い出しました。
それは19世紀半ば、アメリカが舞台の医師とその家族の物語です。
元気に育っていた下の息子が、猩紅熱で聴覚を失ってしまった。医師である父親は何とか息子の聴覚を取り戻そうとするけれど、それが完全に失われてしまったものだと分かってから、耳の聞こえない息子をどう育てていくかを必死に考える。耳が聞こえなくなってしゃべることを忘れてしまった息子に、なんとか声を取り戻させようと家族が力を尽くします。それは幼い息子には辛い仕打ちでした。
ジェスチャーで伝えようとすることをやめさせようと、自分の幼い息子の手を縛る。息子に唇を読ませるということをさせるために、彼の正面でゆっくりとしゃべる。両親と兄の必死の努力にもかかわらず、弟はしゃべろうとしない。
父親はそこで最終手段に出ます。食事の時間に、声を出して頼まないと食事をもらえない・・というルールを作ったのです。その日の夕食に母親が用意したのは、弟が大好きなゆでだんご入りのチキンシチューとルバーブのパイ。最初、みんなが『チキン』と言ってお皿によそってもらい食事を始めます。父親も弟の正面で『チキン』と言ってお皿をもらう。でも、弟はまだしゃべらない。弟のお皿だけが空のまま食事が続き、兄も母親も『チキンのお代わりをお願い』と言ってお代わりのチキンを食べるのだけれど、『チキン』と言わない弟には食事が与えらず、とうとうシチューのお鍋は下げられてしまう。弟は自分だけが食事を与えられなかったことで不安と怒りに震える。そしてデザートのアツアツのルバーブのパイがオーブンから出されて食卓に運ばれてきます。父親はまた彼に向かって『パイ』と言い、自分の分を切り分けてもらう。でも、まだ彼は全身を震わせながらも言葉にできない。父親が、自分の息子がこのまま飢えてしまうくらいなら、もう一生口をきけなくてもいい・・・と、自らの思いつきを諦めようとした瞬間に、『パイ』と弟の口から言葉が放たれます。涙で顔をクシャクシャにしながら、彼は何度も何度も『パイ、パイ』と叫ぶ。
もう、ここでどわーっといつも泣いちゃうんですよね。家族の苦しい気持ちと、5歳になったばかりで自分の身に何が起こったのかまだ分からない幼い息子の苦しみと、『パイ』と叫んだ、息子がしゃべることの感覚を思い出した瞬間・・。こういうのに弱いんです。昔から。

 小説の舞台はアメリカ、イリノイ州。広大な大地を思わせる描写が、生きることの厳しさと暖かさを教えてくれます。写真は日本で広大といえば北海道。。。ということで、北の大地です。氷った湖の上を鴨が歩いている。冷たい空気の中の微笑ましい光景です。
 ちなみに、『千年医師物語』は角川文庫から出てます。ノア・ゴードン著。第一部の『ペルシアの彼方へ』も好きです。

『人×針×糸』がテーマのシュクレプリュスのホームページもぜひご覧ください。
下記のURLからどうぞ。
http://www.sucreweb.com/plus/index.html  
2008.1.17
針のはなし
 先日、メルマガに『針』のことを書いたときに、針のことについて色々調べていたら面白い話しを見つけました。
 欧米と日本の針の違い。日本では、『針が曲がるのは製造者が悪い。針が折れるのは使用者が悪い。』とされているそうです。ということは、針自体は曲がらない作りになっているということ。欧米では逆に、折れる針を嫌う傾向があり、しなる(曲がる)針を製造するそうです。なるほど。
 この話には思い当たる節がありました。私は今、ミシン針にはドイツのメーカーのものを使用しています。この針がめっぽう強い!!というか、良くしなって、折れないのです。以前使っていた日本のメーカーのものは、厚手のものを縫うと針が折れる折れる。私が作っているバッグは生地自体が厚手のものが多いですし、そこに裏打ちをしたり、芯を入れたりとしていると、どうしても普通の洋裁で縫うものよりはかなり厚くなってしまいます。針の番手を変えて太いものを使い、ミシン糸も太いものを使うのですが、どうしても針が折れてしまうことが多かった。ところが、ドイツのメーカーの針に変えてから、一度も折れたことがないのです。一度も、です。正直、びっくりしました。針がしなるんですよ。ぐにゅって。ちょっと負荷をかけてしまっても、折れたりしない。おかげで針代はものすごーーーく、助かっています。しなって曲がってしまうかというと、そうでもない。ちゃんともとに戻っていて、ずっと真っ直ぐです。このメーカーには惜しみなく拍手を送りたい。
 そして、縫い針はというと、実はあるメーカーの針がしなりがなくてぱきぱき折れるんですよね。。。今まで『このメーカーの針はひどい!!すぐに折れる!!』と文句たらたら言ってましたが、これが日本の針なんですね。てことは、私の技術が足りない・・・ってことか・・・。でも、厚手のものを繊細に仕上げようとするのって、なかなか難しいんです。まあ、言い訳ですが。『洋裁』で育った私には、洋物の針が手に合っている・・ということですかね。
 ちなみに、運針というのは日本独自の技術だそうです。世界のどの国にも無いんですって。最近は運針ができないという人も多いようですが、素晴らしい技術です。個人的に、結構好きです。
 そう言えば、外国の人に日本の指ぬきを見せると『なにこれ??』って感じになる。確かに、日本の指ぬきって、運針用ですね。でもこれは便利ですよ〜!!シュクレの刺繍クラスの方にも普段から『指ぬきを使えるようにしてください』と言ってますが、ほんとに優秀です。もちろん上手く使えればですが。刺繍では使いませんが、そのあと何かに仕立てるということをするなら、絶対指ぬきは必需品です。・・なんだか指ぬきメーカーの営業のようになってしまいました・・。

 写真は昨年末に行った北海道。私の中では、こういうのが『冬ソナ』のイメージなんですけど、あってるでしょうか??(実は一度も見たことないです。)

 そういえば、針のことを調べようと思ったときに、エッツィのことを思い出しました。アイスマン。1991年に標高3000m超のアルプスで発見された、約5300年前のミイラです。彼も衣服を身につけていました。果たしてその衣服は針と糸で縫われたものであったのか?エッツィのことを書いた本にそのことが書かれていたような気がしたので調べてみたんですけど、どこにもその記述は見あたらず・・・。当時読んだ本も見あたらず・・・。結局未だに分かっていません。どなたかご存じでしたら教えてください。

『人×針×糸』がテーマのシュクレプリュスのホームページもぜひご覧ください。
下記のURLからどうぞ。
http://www.sucreweb.com/plus/index.html  
2008.1.7
初夢♪
 2008年になりました。今年もどうぞ、ご贔屓に。よろしくお願いします。
 さてさて、初夢、見ましたか?一体初夢はいつ見る夢?と思い調べてみると、元日か2日の夜に見る夢・・という説が多いようでした。江戸中期からは1月2日の夜に寝て見る夢が『初夢』というのが一般的のようです。
 私の初夢は、『ダイエットをするぞ!!』と決心する夢でした。起きて開口一番、夫に『ダイエットをする』と宣言しました。というのも、年末北海道に行き、美味しいもの三昧で、たいして動きもしないくせに食べたい放題食べていたせいで、すっかり体重が増加。今まで生きてきた中での最高体重を記録してしまったのです。新年早々、あいたたた・・な感じです。きっと気にしていたんで、夢に見ちゃったんですね。
 ところで初夢。『初夢は正夢』というのを聞いたことがないですか?私はずっとこの言葉を信じていたんですけど、『初夢』のことを調べても、どこにも『正夢』になる・・なんてことは出てこないんですよね。まあ、初夢からすでに数日が経ちますが、ダイエットを実行できている感覚は無く、体重も変わらず。。。どうやら『初夢は正夢』は長年の勝手な思い過ごしだったようです。

 写真は札幌、大通り公園のライトアップ。
 冬の北海道は本当に素敵でした。年末までは例年と比べて雪が格段に少なかったようです。それでもやはり、東京では最近雪を見ることがなかなかないので、一面の白い世界の美しさに感動でした。札幌の方が全然気温は低いはずなのに、なぜか東京に帰って来てからの方が寒く感じるんですよね。これって不思議です。

 2008年は『シュクレ・プリュス』もどうぞよろしくお願いします。トピックスをアップしましたので、ぜひご覧ください。
下記のURLからどうぞ。
http://www.sucreweb.com/plus/index.html