cafe time sucre

カフェ・タイム・シュクレは、シュクレの杉浦今日子が、日々の出来事や刺繍のこと、
フランスのこと、もの作りのことなどをつらつらと書き綴る日記です。
コーヒーやお茶を片手に、ひと休みという時間のお供にどうぞ。


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2007.9.27
斑鳩
 斑鳩・・というと、ついつい九段のラーメンやさんを思い出してしまいます。以前雑誌で見て、載っていた写真にやられました。行ってみたい・・・と思って早数年が経ちましたが、まだ行っていません。
 本家本元、奈良の斑鳩。こちらには言わずと知れた法隆寺があります。まあ、ラーメンと比較してどうよって感じですみません・・。
 法隆寺にはあの有名な百済観音像がおられるわけですが、ここでの百済観音さまは特別扱い。新しく建てられた“百済観音堂”に堂々と飾られております。“国宝”に加えて“有名”ということもあり、他の仏像は素通りで来た観光客も、この像の前では足を止めて、その細見で縦に長いという印象を受ける像をゆっくりと眺めていきます。
 私たちが行ったのは穏やかな祭日・・・のはずだったのですが、なぜか修学旅行生の集団が、われわれの地味だけど静かでのんびりの休日に後ろからどかどかと入り込んできました。しかも3校。あり得ない・・・。制服姿の中学生、男子5人は百済観音像に見向きもしないで素通り。あり得ません。チラ見ぐらいして欲しい。
 次に続く女子生徒は、百済観音像を見た瞬間にひと言、「ながっ!!!」。これでは国宝も校庭のトーテンポールも扱いが一緒。(今の学校の校庭にトーテンポールがあるのか知らないけど・・。ちなみに、私はトーテンポールが校庭にある学校には通ったことがありません。)
 まあ、中学生が仏像見てしんみりしてるよりはいいかもしれないけど。
 その後の展示室でも、修学旅行生たちの暴走は止まりません。お面を見ては「これ○○に似てるぅ〜」だし、「疲れた」といって座り込むし、ガラスをべたべた触るし・・。生まれ変わっても中学校の教師だけにはなるまい・・・と誓った瞬間でした。

 写真は法隆寺近くにある法起寺の三重の塔。こちら、世界遺産です。現存する日本最古の三重塔として有名。秋桜が可憐に咲く静かでのどかな雰囲気のお寺。間違っても修学旅行生がどわどわとやってきたりはしません。でもきっと、自分もあんな風にぎゃーぎゃー騒いでいたんですよね。忘れちゃってるけど。
 斑鳩は空が素敵でした。雲の存在感が良かった。法隆寺の五重塔と法輪寺の三重塔と、この法起寺の三重塔。高い建物やら電線やらがなかった時代は、遠くからでもこれらの塔を眺めて祈ることができたのですね。一日の始まりと終わりに、農作業の道具を背負った農民が道端で塔に向かって手を合わせている姿。そんな古の光景が斑鳩にいると目に浮かんできます。

2007.9.20
仏像♪仏像♪
 久しぶりに(多分10年振りくらい)奈良に行ってきました。仏像好きとしては、奈良といえば魅惑的な仏像がここぞとばかりに集まっているメッカのような場所です。興福寺の阿修羅を始め、東大寺の大仏さま、法隆寺の百済観音などなど、有名処だけでも見所満載で、どこに行くか決めるのに一苦労。今回はあえて大仏さまは除き、今までまだあったことのない仏像に会いに行くことに重点を置くことにしました。
 まずは東大寺・戒壇院。人気のない細い道を抜けて、長い石段の上にそびえ立つこの建物の中には四天王像があります。それがなんだか腰がきゅっとひきしまったスリムな体型で、ちょっと外人ぽくて素敵です。中でも、後方の多聞天と広目天がいい。ナイスな表情をしています。目を細めて、眉間にしわが寄っている。これってどう見ても、コワイとか威厳があるとかじゃなくて、『困ってる』感じ。『帝釈天に無理なお願いされちゃってさ・・・。こまってんだよね。』みたいな。
 邪気踏んづけて、目をかーっと見開いて、『ぐあおぉぉ〜』(怪獣じゃないんだから・・・)って感じは無いです。
 四天王って言えば、この本家本元の四天王から転じて、その世界に君臨するトップ4を四天王と言いますね。『ものまね四天王』とか、『アイドル四天王』とか・・・。ものまね四天王にコロッケさんはまだ入ってるんでしょうか。最近テレビ見てないんで知らないんですけど。
 勝手に四天王作らせていただくと、私のスイーツ四天王は『チーズケーキ』『アップルパイ』『ドーナツ』『アイスクリーム』です。甘いものになると、なぜかアメリカ寄り。しかもシンプル路線です。最近『おっ』と思ったのは、フレッシュネスバーガーのNYチーズケーキ。好みでした。アイスクリームはハーゲンダッツのビターキャラメルがお気に入り。大人の美味さです。あ・・・、そういえばチョコレート入れるの忘れました。どうしよう・・・。ここで真剣に悩んでしまう自分が情けない。大人なのに・・・。

 写真は奈良で見つけた屋根の上の小獣。玄関先だったので、悪いものは入れないぞって守っている感じです。ちなみに、四天王は帝釈天にお仕えしています。

2007.9.10
レースの話し。
 前回に引き続き、再びレースの話し。
 わたしは刺繍はしても、レースは作れません。なぜならそれは、恐ろしく根気のいる作業だから。ボビンレースもニードル・ポイント・レースも一通りさわりだけやってみたことはあるのですが、とてもじゃないけどO型・大雑把・根性無しの人間ができるものではありません。なので、自分ではまったく太刀打ちできなかったレース・・とくにハンドメイドのアンティーク・レースを見ると、そこに込められた根性と長い時間と冷静沈着な魂(細く長い糸が絡まっても、イラッとしていたらレースはとても作れない)の結晶を感じて、意味もなく長いため息がでます。私にもっと根性と冷静沈着な魂があったら・・・と、ついつい無駄に比較してしまうんですね。
 さて、イギリスでレースといえばホニトン・レース。ホニトンというイギリス西南部の小さな街で作られたレースです。昔むかし、大陸から追われたプロテスタントの職人達がこの街にたどり着いて、レース産業に一歩遅れを取っていたイギリスでレースを作り始めたとのこと。花のパターンが美しいレースです。
 19世紀半ば、ヴィクトリア女王は、自分の結婚式の時に全てイギリス製の素材を使ってウエディングドレスを作りました。自国の産業を活性化させるため、自らがファッションリーダーとなって世界にアピールしたわけです。このとき使われたレースもホニトン・レース。ホニトンにはレースの博物館もあるそうです。いつか行ってみたい街です。

 写真はイギリスの個人邸のお庭。とにかく、どこのお宅に行ってもお庭が美しくて、感激します。この時は春で、色とりどりの花が咲いていました。こういった身近に咲く花がレースのモチーフとなっていったのでしょう。季節の花が自分の家の庭に咲くなんて、素敵ですねぇ。

2007.9.5
アンティークのレース
 パリやロンドンに行ったときにはアンティーク・マーケットに行くようにしているのですが、正直ここ最近のヨーロッパのマーケットは品薄・・という感じがどうしてもしてしまいます。ものが少なくなっている・・・に伴って、価格も上昇。プラス最近のユーロ高とあっては、欲しいものがあっても全然手が出ないという状態。まあ、新しく作れるものではないので仕方ないとは思うんですけど、『これって80年代くらい??』みたいなレースがアンティークショップに並んでいたりすると、正直興ざめしてしまいます。
 最近は、東京のアンティークフェアやら骨董市のたぐいに出かけては、レースを物色。いいものはあっても、なかなか手が出るお値段ではなく、ただ見るだけってことの方が多いんですけど・・・。
 でもやはり、昔のレースは素敵です。今、東京都庭園美術館で『舞台芸術の世界〜ディアギレフのロシアバレエと舞台デザイン〜』という展示会をやっています。20世紀初頭にヨーロッパの芸術に革新的な影響を与えた、芸術プロデューサー、ディアギレフ率いるロシアバレエ団(バレエ・リュス)を中心とした展示です。
 この中に数点、当時の実際の衣裳が飾られています。そんな中、袖口にちょこっとレースが使われているものがあったりして・・。このちょこっとのレースが、手芸オタクにはたまらなく素敵!思わず、じーーーっとレースを凝視してしまいました。

 写真はオランダの風車。オランダでもレースは作られていたらしいです。あまり有名じゃないけど。17世紀半ばに独立国として承認されたオランダは、ベルギーのレースを手本にしていました。東洋とのかかわりが深かったため、東洋的な模様のレースや農民の頭巾に使うような目のつんだものを作っていたそうです。オランダ各地の民族衣装にもレースはよく使われているそう。そう言えば、お土産ものやさんで見る、頭巾をかぶって木靴をはいて民族衣装を着た女の子の人形の襟元や袖にちらりと見える白い部分はレースですね。ベルギーやフランスのレースほど繊細じゃないけれど、質素なオランダ人が使うのにはちょうどいい素朴さと頑丈さを備えたレースだったのかもしれません。想像だけど。