cafe time sucre

カフェ・タイム・シュクレは、シュクレの杉浦今日子が、日々の出来事や刺繍のこと、
フランスのこと、もの作りのことなどをつらつらと書き綴る日記です。
コーヒーやお茶を片手に、ひと休みという時間のお供にどうぞ。


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2007.3.26
イギリスに渡った5人の長州人
最近どうにもこうにも涙腺が緩くて困ってしまいます。もともと泣き虫ではありますが、年をとって更に涙もろくなっています。友人が、『年をとると派手なものを着ることに躊躇が無くなってくる。』と言っていましたが、私の場合は『年をとって涙を流すことに躊躇が無くなっている』という感じ。特に映画、ドラマ、舞台のたぐいは、だいたいどんなものでも涙無くしては見れません。
先日見た映画、『長州ファイブ』では、おそらく映画館の中でただ1人の号泣だったのではないかと思います。
『長州ファイブ』は、幕末、まだ鎖国が解かれていなかった時代、海外渡航が見つかれば死罪になるという時代に、外国の技術を学び、欧米諸国に遅れをとっているわが日本を救おうと、命を賭けてイギリスに渡った5人の長州人の物語です。この5人の中に後の初代内閣総理大臣・伊藤博文と、井上馨がいたことは有名な話しですが、そのほかの3人については『そういえばそんな人もいたよね。』くらいの知識しかありませんでした。
映画の中では、5年間イギリスに留学し、造船の技術を学び、日本に帰った後日本工学の父と呼ばれた山尾庸三にスポットが当てられています。この役を演じたのが、松田龍平くん。真面目で、日本の未来を一番に考え、異国の孤独の中にいながらも侍の凛とした誇りを忘れず生きる様は、それはそれは涙なくしては見られるものではありませんっ。
いくら日本を諸外国の支配から守るという大いなる情熱があるとはいっても、昔の日本人が持っていたこの強い精神力は素晴らしい。今の私には持ち合わせがないですが・・。でも、憧れちゃいますね。


写真はお寺の屋根と飛行機雲。今はヨーロッパへも飛行機で11時間ちょっとで着いちゃいますけど、彼らがイギリスに渡った時代は、恐ろしく長い航海を経てのイギリス上陸でした。それを考えただけでも、スゴイと思ってしまう。11時間のフライトでツライなんて言ってたらいけないですね。約6ヶ月(途中香港に立ち寄っていますが)の航海。海の上に半年いると思っただけで、くらくらします。

2007.3.18
春の訪れ。
暖冬のまま冬は明けてしまうのか・・・と思っていたら、ここ数日寒さがぶり返してきました。冬将軍もただでは引き下がらないようです。
3月半ば過ぎて初雪を降らせるなんて、ねばり強い・・・。今日も冷たい風がぴゅーぴゅー吹いて、ダウンコートとウールのマフラーですっかり真冬の装いでしたが、その冷たい空気の中で花を開き始めた桜を発見しました。
沢山桜の樹がある中で、一本だけ、花を咲かせて人々の注目を集めていました。そこを通り過ぎる人たちが、みんな足を止めて写真を撮っているのを見ると、本当に日本人は桜が好きなんだなぁ・・・と改めて感じます。
平安貴族に愛されて以来、数え切れないほどの芸術の中で表現されてきた桜。今でもこの季節になると、タイトルに『さくら』と付く歌がヒットしてきますよね。
もちろん、和文様の中でも使われてきました。面白いのは、桜単独の『桜文』だけでなく、春の代表選手『桜』と秋の代表選手『楓』を合わせた『桜楓文』。現実には絶対に一緒に見ることができない二つを合わせちゃった欲張りな文様です。自然界ではあり得ないことができるって、なんだか素敵です。人間ならでは、という感じがして。
そういえば、まだ写真がなかった頃の図鑑は、全て手描きの絵で構成されていました。植物図鑑では、ひとつの茎につぼみと花と果実が一緒に描かれて、一枚の絵の中にその植物の一生が収まっていた。これこそまさに、人間のなせる技。今の図鑑はみんな写真で、確かに実際のものが見られるのはいいけど、こういう博物絵の楽しみは無くなってしまいました。ちょっと残念。



写真は今日咲いていた桜。他より早く咲くと、注目度が高いです。いち早く咲いてばっちり注目されて、満開の時には潔く真っ先に散るのと、満開の時に咲いて、全体の美しさを愛でられるのと、どちらが桜にとって本望なのでしょうか?花を見るとついついそういうことを考えてしまうのは、計算高い人間の悪いくせですねぇ。

2007.3.12
猫。
家のまわりに猫がいます。彼らはわれわれ人間と微妙な関係を保ちながら、自分たちの世界を崩さずしたたかに生き抜く、強者達。
以前住んでいたマンションのまわりにも沢山猫がいました。1階が駐車場で、ベンツとかBMWとか、高級外車(もちろん私のではない)のボンネットが大好きな猫が2匹いて、いつも彼らは仲良く一緒にいました。勝手に夫婦か恋人同士なのだろうと想像して、鼻の下が黒くちょび髭の様になっている三毛猫を『ヒトラー』、彼といつも一緒にいるそれはそれはかわいい顔をした金茶の毛の猫を『(ヒトラーの)愛人』と呼んでいました。
いつも一緒のこの2匹は、人様のベンツをねぐらにしているわりに人間にはあまり懐かなく、人が通ると警戒心をむき出しにしてくるようなちょっと骨がありそうな猫たちでした。(でも、自転車でいつも食べ物を持ってくるおばさんが来ると、二人してむしゃむしゃ食べてました。人間も猫も、動物はとにかく食べ物には弱い・・。)
愛人は、わたしが今まで見た猫の中でも1、2を争う美人さん。そんな愛人を大切に大切にしていたヒトラー君は、わたしが近寄ると愛人を守るようにすっと愛人の前に自分の手を出すのです。そんな仕草がかわいくて、わざと二人に近づいてみたりしていました。

ところが。ある日、友人と猫の話しをしていたところ、『三毛猫ってメスだよね。』というではないですか!!なにっ???てことは、今まで『男らしいっ!!!』と思っていたヒトラー君は、メス???どんな時でも愛人を守ってきたヒトラーは、なんとメスの可能性が大・・・ということが、何年も彼らを見てきたあとに分かったのでした・・・。実際、三毛猫は殆どがメスだそうです。オスの三毛は大変めずらしい。染色体の関係らしいです。てことは、愛人はどちらかというと『ひも』か・・。


写真は誰がどう見ても金閣寺。おめでたい感じが好きです。猫がいる街はいい街・・・というイメージを持っている人は結構いるみたいです。ラッキーの象徴みたいな動物です。もちろん、猫は嫌いという人もいるけど。わたしはどちらかというと猫好きです。金閣とは何の関係もありませんが。