cafe time sucre

カフェ・タイム・シュクレは、シュクレの杉浦今日子が、日々の出来事や刺繍のこと、
フランスのこと、もの作りのことなどをつらつらと書き綴る日記です。
コーヒーやお茶を片手に、ひと休みという時間のお供にどうぞ。


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2007.2.28
マリー・アントワネット
『マリー・アントワネット』といえば、『ベルサイユのばら』。日本人(特に女子)の中では、かなり幅広い年齢層でこの図式が成立しているように思うんですけど、どうでしょう??
先日、今公開中のハリウッドの『マリー・アントワネット』を見てきました。監督はソフィア・コッポラ。主演はスパイダーマンのキルスティン・ダンストのあれです。
まあ、普通に楽しめた映画ではありましたが、日本人にこのテーマを向けられると、どうしても『ベルばら』が対抗馬として頭の中に出てきてしまい、どうにもこうにも『オスカル』や『アンドレ』がいないことに違和感を覚えてしまうのは、私だけではないはず・・・と、勝手に思いながら見ていました。ここまで印象深く心に残る漫画って、すごいですよね。しかも歴史もので、実際の歴史よりもディープに脳にインプットされている。(わたしだけ?)
でも、ベルばらは日本語でなんの違和感もなく受け入れられたのに、今回の映画は英語であることにほんのちょっとだけ違和感を感じました。フランス好きなだけに、フランス人にとってみれば他国語で自国の歴史を語られるってどういう気持ちがするものなのだろうかな???と。日本だって、中国語で坂本龍馬が映画化されたら、『何それ?』って思いますよね。

そういえば、ハリウッドはヨーロッパの歴史ものを結構映画化してヒット飛ばしてるなぁ・・・と思い返すと、『ジャンヌ・ダルク』もそうだし、『アマデウス』だって英語でした。それを言ったら、『SAYURI』だってハリウッドではないですか!!確かに、あれはいわゆる本物の日本ではなく、外国人の考える『エキゾチック・ジャパン』だったけど、拒否反応もなく最後まで素直に見れました。ハリウッドのエンターテインメント力ってすごいですね。万人をその気にさせちゃう。脱帽です。(かぶってないけど)


写真はフランスのお城の窓から眺めた庭園。ヴェルサイユ宮殿ではありませんが、理路整然としたあの時代の典型的なお庭です。ちなみに、映画は衣裳のアートフラワーが素敵でした。少女の頃はあのわさわさと衣擦れの音がするドレスに憧れたものですが、今では多分頼まれても着ないと思います。『家事ができない』とか『階段登れない』とか、色んなこと考えちゃいそうで・・・。

2007.2.20
絹の糸・2
先日のコラムで絹の刺繍糸のことを書いたのですが、その続きです。
京都に、わたしが大好きな糸屋さん、『アート・ファイバー・エンドウ』というお店があります。遠藤さんがやっている、糸のお店です。
わたしが最初に麻の刺繍糸を見つけたのが、この遠藤さんででした。いまではDMCも麻の刺繍糸を出していますが(色数がまだ少ないですけど・・。たしか24色。コスモも出してます。)、以前はどこの材料やさんにも麻の刺繍糸はありませんでした。それが、麻で、しかも100色以上の品揃え。麻の素朴な感じで表現できることはとても多いはず・・・。そして予想通り、麻刺繍糸はその後の制作の中で欠かせない大事な素材となりました。
その、遠藤さんがなんと!!今度はシルクの刺繍糸を出されました!!こちらも十分な色数があります。段初めの糸は、紙管に巻いてあり撚りが少し強め。とても使いやすいです。そして単色のものは、25番糸の様に、糸を分けることができ、こちらは撚りが弱めです。

京都という土地は、ずっと『都』でした。現在、日本の首都は東京ですが、江戸城が無血開城されたあと、天子様をちょっとお借りしてそのままお返ししていない・・・というだけで、はっきりとした遷都がされていたわけではありません。そのため、京都の方にとっては、都は今も京都である・・という意識があるそうです。(この辺、司馬遼太郎さんの受け売りです。)
確かに京都に行くと、町のそこかしこで歴史を感じることが少なくありません。遠藤さんがおっしゃっていましたが、『京都で糸を作るなら正絹でという思いがあった』そうです。遠藤さんの素晴らしい感性と、京都という長い歴史の中で日本の『雅』を育んできた土地に感謝を込めて、大切に使いたい正絹の刺繍糸です。

写真はアート・ファイバー・エンドウの店内です。刺繍好きにはたまらない、糸の数々。一番手前が麻の糸です。遠藤さんは、大手の刺繍メーカーの作らないものを・・・という気持ちで糸を制作されてきたそうです。本当に、こんな刺繍糸があったなんて!!!と、感激の連続です。
HPは、『http://www.artfiberendo.co.jp』。通販もありますが、京都に行かれたらぜひ足を運んでみてください。店内に足を踏み入れたときの感動をぜひ味わってほしいです。

2007.2.14
冬・京都
京都に行ってきました〜!!朝・晩は冷え込みましたが、天気も良く、昼間はコートを脱ぎたくなるぽかぽか陽気でした。日本全国、暖冬なんですね。
この時期の京都は、各所に点在する神社仏閣で『特別展』やら『秘宝公開』なるものを実施しています。普段見られないものが見られる・・っていうのは、大衆の心をぐぐっと鷲づかみにする巧妙な戦法。そんなこんなで、3連休ということもあり、京都の町はどこに行っても人・人・人・・・という大・観光名所振りを発揮していました。
そんな中、われわれが向かったのは梅の名所、北野天満宮。こちらの梅苑、ちょうど3連休から公開されていて、しかも今年のこの暖冬のおかげですでにかなりの梅の花が咲いていました。
私はもともと梅ファンです。桜も好きですが、梅には更に心を惹かれるものがあります。
梅はヨーロッパではあまり『人気』のある花ではないようです。日本の象徴のような桜に比べて、地味・・・という感じなのでしょうか。でも、こんなに寒い時期に葉を付けず花を咲かせて、なにやら健気な感じがたまりません。

北野天満宮では、白もピンクも早咲きの梅がこれでもかっと言わんばかりに花を咲かせていました。そして気になったのが、紅梅のつぼみ。今見ているこの瞬間に花を咲かせそうなくらいにぱんぱんに膨らんだつぼみたち。生命力開花の一歩手前・・・といった感じには、正直目と心を奪われました。


写真は北野天満宮の紅梅のつぼみ。細い枝にわんさかと付いています。赤の色が鮮やかで、生命力の固まりのよう。この時期梅苑の中に北野天満宮の近くにある『老松』という和菓子屋さんの出店が出ています。ここでみたらし団子が食べられるんですけど、ひじょーに美味しそうでした。ここに来る直前にかなりがっしりお昼を食べてしまったので、みたらし団子には後ろ髪を引かれながらも手を出さず・・・。悔やまれます・・・。さて、北野天満宮、要所要所に『梅の紋』が見られます。そんなひとつひとつ気持ちを込めて作られた日本の建築物には、日本人の心配りの細やかさが感じられてとても気持ちがいいです。

2007.2.7
絹の糸
刺繍糸で『絹糸』といえば、真っ先に思い浮かぶのが日本刺繍の釜糸。これは撚りの掛かっていない紙管に巻いてある糸で、必要に応じて撚りを掛けたり、そのままで刺繍をしたりします。撚りを掛けるとき、糸の本数と、撚りの強さで表情の違う糸が出来上がるので、日本刺繍では表現したいものによって自分で糸を作れるのです。素晴らしいっ!!!
でも、普段日本刺繍でない刺繍をしているときに、釜糸を使って撚りをかけながら刺していくのって意外に大変・・。
ということで、撚りの掛かった絹刺繍糸を探しておりました。前回パリに行ったときに、発見!色数は綿の刺繍糸にはとても及びませんが、きちんと撚りのかかった絹刺繍糸がありました。
絹糸は蚕の繭から取れる長繊維です。繭はほそーい、ながーい糸でできているのですが、なんと、その長さは1000メートル以上!!1kmです!!それをあの白くてむにゅむにゅした小さな虫がえんえんとしゅるしゅる吐きだしているのかと思うと、涙ぐましいです。
シルクの刺繍糸に憧れる訳は、やはりその光沢。レーヨンの刺繍糸もでていますが、やはり絹の光沢にはかないません。絹は断面が三角形で、この形がプリズム効果を生むのだとか。なるほど。その上タンパク質繊維で、染料に容易に美しく染まりやすいという特徴もあります。だから発色が良く、『ぱきっ!!』とした小気味いい色合いがでるんですね。

フランスで買ってきた絹糸は、しっかりと撚りが掛かったものでした。でも、シルクの特徴か、刺しているときに撚りを綺麗に出すのが少し難しいです。日本刺繍は台に張って、布を挟んで上下に手を置いて刺していくので、そんなに撚りの乱れが気になることはなかったのですが、台に張らずに刺すと糸を引く方向によっては撚りが取れてきてしまったり、逆に撚りがかかりすぎたりしてしまうような気がしました。
でも、念願の撚りの掛かったシルクの刺繍糸。大事に使わなくちゃ・・・と思っていた矢先、なんとっ!!!見つけてしまいました〜♪日本でシルクの刺繍糸!!後日またご紹介します。(多分今月の後半くらいに)

写真はパリのモンソー公園。お昼時間には、多くの人がランチに訪れます。こんな公園でゆっくりしたい・・・という気持ち満載の忙しいあなたに。もちろん、わたしもここでぼーっとしたい。