cafe time sucre

カフェ・タイム・シュクレは、シュクレの杉浦今日子が、日々の出来事や刺繍のこと、
フランスのこと、もの作りのことなどをつらつらと書き綴る日記です。
コーヒーやお茶を片手に、ひと休みという時間のお供にどうぞ。


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2006.6.26
『大根』
「だいこん」ではありません。「おおね」と読みます。友人夫婦がやっているお魚料理のお店です。
先日久々に行ってきました。美味しかった・・・。久しぶりに、美味しいお料理をいただきました。最初にでてきたお通しから、いきなり感激の味。「簡単だよ」と言って作り方を教えてくれたのですが、そりゃあプロにしてみたら簡単な部類かもしれないけど、素人さんにはそんな手間かけて作れないっすよ!!でもせっかくだから、メモっておいて誰か人が来たときに作ってみてもいいですね。自宅で作るなら、おもてなし料理の部類です。自分のためにそんなに手間かけられない・・・。
お魚料理の和食メインで、日本酒も美味しそうなのが沢山揃っています。(わたしは飲めないので、お酒に関してはメニューを見て、ふんふん言っていただけですが)旦那様自ら岩手や奈良の酒蔵に出向いて、お酒を仕入れて来るそうです。忙しいのに、そういうところはマメになるんですって。その気持ちはなんとなく分かる・・。
わたしも刺繍のこととなると、とにかく行ってみたいと思ってしまう。私は刺繍オタク。大根の旦那様は料理オタク。オタク根性って、ものを作るときとても大事なものだと思います。それだけ思い入れが強い。
でも、独りよがりにならないために、オタクだけではなく、一歩引いて見る目も重要。この情熱と冷静さのバランスが上手くとれていると、一番いいですね。そうでありたいと、いつも心がけています。
大根さんは上手くバランスがとれてるお料理やさん。接客上手なねぇさん(九州女子で、熱いオンナ。でもとても繊細な刺繍をする人です。)がお出迎えしてくれます。

写真はコラムの内容とは全然関係ないですが、フランスでバスの中から撮った菜の花畑。ものすごい勢いで走っている窓から撮ったので、菜の花が流れている。こういう偶然とれた美しい写真が、刺繍のイメージになったりします。
2006.6.20
「天使と悪魔」にはまる。
今、「天使と悪魔」に夢中です。あの、「ダヴィンチ・コード」のダン・ブラウンさんの小説です。
ダヴィンチ・コードでお馴染みのラングドン博士がこちらも主人公。これも宗教がらみのお話しです。「ダヴィンチ・コード」もそうですが、キリスト教信者の反発があるらしい。映画も中国では上映禁止になったみたいだし。わたしは無宗教なので、素直に小説として楽しんでいます。
さてここで、小説がベストセラーになって映画化されるという話はよくありますが、自分の中のイメージと俳優さんが違っていたりすることってないですか?今回のダヴィンチ・コードの映画化で、最初にラングドン博士がトム・ハンクスだってきいたときに、正直わたしの中では大ブーイングでした。まあ、これまでトム・ハンクスの映画を一本も見たことのない人間が言うのもなんですが、顔の肉の付き方がちがーう!!と思ってしまったのです。私の中では、もうちょっと顔が細かった・・。
ソフィーのオドレイ・トトゥもどうかな・・・と。彼女はヴィーナス・ビューティーからアメリ、ロング・エンゲージメントまで見たけど、どうしても少々不思議ちゃんイメージの女優さんから抜け出せない気がしたのです。

しかし。実際に映画を見て(これだけ何だかんだと言いつつもしっかり見てます。)キャストはとても良かった。トム・ハンクスさんは(急にさん付き)いい役者さんですね。オドレイも英語の発音が可愛かったし。
これ、日本人にしたら誰が演じるんでしょうね。ラングドン博士は役所広司さんにやって欲しいな。個人的に。ソフィーは絶対中谷美紀さん。そうなると、警部はだれ?舘ひろし?それじゃちょっとコメディチックになっちゃうし。大門軍団のなかではダメですね。となると、太陽にほえろ?山さんじゃ優しすぎるし、チョーさんじゃ小さすぎる・・。やっぱり国際俳優渡辺謙さんで落ち着くのでしょうか??

写真はパリのサクレクール寺院の近くにある、アメリの撮影に使われた八百屋さん。アメリのポスターが貼ってありました。
2006.6.18
バイユーのタピスリー再び
前のコラムの続きです。
音声ガイドをスタートさせると、思いもよらぬ早口の説明。男性の声が、これ以上早くしゃべったらかんでしまう・・という限界の早さで原稿を読んでいるのです。物語は、ノルマンディー公ギヨームがイングランドの王位を継承するきっかけとなったヘイスティングズの戦いのいきさつが、延々と刺繍で表現されているのですが、場面毎に1から58までの番号が付いています。
音声ガイドは「1番はこれこれこういうことで、2番ではこうなっています。3番をご覧ください。」という感じで、とにかく説明が早い!!その説明について行こうとすると、立ち止まってじっくり見入る余裕は全くなく、とにかく進んでいかなければならない。「そりゃあないよ。」と思って、音声ガイドを一時停止させようと思っても、どのボタンを押しても一時停止なんて親切なものはなく、一度始まった音声ガイドはその全てをしゃべり終わるまで、止まることをしなかったのです。仕方ないので、音声ガイドに任せてつらつらと場面を追いながら見ていきます。まあ、それでも全長70mという長大作品ですから、それなりに時間はかかるわけです。70mの間、ガイドのお兄さん(わりと若い人の声だった)はものすごい早口なのにかむこともなく、素晴らしい解説を聞かせてくれたのでした。
最後の場面が終わり、物語のあらましを大体つかんだところで、わたしたちはもう一度じっくり見るために最初の場面に戻っていきました。今度は音声ガイド無しで、刺繍を堪能。・・・と、思ったら、入口から団体さんがどわっと入って来るではないですかっ!!!「やだな・・・」と思ったのも束の間。音声ガイドに従って進んでいった団体さんは、あっという間にわたしたちをぬかしていったのでした。

他の人の音声ガイドをよく聴いてみると、大体どの言語も男の人の声で(たぶん声が低くて響かないから)、ものすごい早口でした。平日の昼間に、結構な数の人たちがやってくるのだから、このタピスリーの街への貢献度はかなり高く、70mの長丁場に人を滞留させずにどんどんお客さんをさばいていくこの「早口戦法」は運営を考えた街の人たちの叡智の固まりですね。頭が下がります。
しかも1階に来るのは最後の最後で、その前の長々しいパネルと映画で、みんなもう50%〜70%は満足してしまっていて、一度音声ガイドに沿って実物を見たら、引き返してもう一度見る人なんて、よっぽどの刺繍オタクか、わざわざ12時間かけて飛行機でやってきたアジア人くらいしかいない訳です。そしてもちろん、出口の手前には壮大な土産ものやがありました。

写真は街の中にあったクレープ屋さん。そば粉のガレットが美味しかった。

2006.6.14
バイユーのタピスリーとそれを巡る人々
バイユーのタピスリーは元神学校の由緒正しき(たぶん)建物の中にあります。とても小さなかわいらしい街なので、バイユーに行かれたらぜひとも駅とタピスリーの往復だけではなく、運河の流れる街もぶらぶらしてみてください。ノルマンディーはイギリスに近いせいか、英語を話してくれる人が多くて、(お店の窓に、英語話しますの意味だと思うのだけれど、英国国旗のシールが貼ってあったりします)街なかに「フィッシュ&チップス」のお店があったのにも驚きました。
タピスリーの建物の中に入ると、まずチケットを買って、その近くに立っている係の人が順路の説明をしてきます。「まず、2階に行ってください。そこにタピスリーの説明があります。そのあとは3階で映画をご覧ください。実際のタピスリーは1階にあります。」まず、強制的に2階へ上がります。2階にしか行けないようになっているのです。
2階にはタピスリーの各場面が大きく印刷されたものが、えんえんと解説付きでパネルのようになっています。それを見て、まず勉強しろ。という訳です。人物の紹介や、歴史的な背景などがフランス語で書かれています。こんなのじっくり見てたらこれだけで疲れて、一番大事な実物を見る気力がなくなってしまう・・・と恐れたわたしは、3枚目までざっと見てあとは素通りしました。
そして3階。そこには小さな映画館。短い(5分か10分くらい)の映画(もちろんフランス語)が流れている間、実物に備えてしっかり寝て体力を温存。そしていよいよ実物のある1階へ。

入口では国をきかれて、音声ガイドを受け取ります。かなり色々な国の人がやってくるらしく、沢山の言語の音声ガイドがありました。わたしは日本語の音声ガイドを受け取り、いざ待ちに待った実物のタピスリーのある部屋へ。
部屋は作品保護のために薄暗く、ガラス越しのタピスリーが延々と続いています。なんといっても全長約70m。本当に、「延々と」という言葉でしか表せないほど長いのです。入口で係の人に教わったように、音声ガイドをスタートさせました。ところが・・・。

写真はバイユーの街なかにあった案内板。赤い実の植物と、太陽の光がきれい。

2006.6.7
フランスにて。
先日、フランスに行ったときのこと。いつもパリには生地を買いに行きます。バッグのための生地。
それから、アンティークショップをまわって、ビーズやスパンコール、レースなども仕入れます。だいたいいつも、パリの街をへとへとになるまで、重い荷物を持ちながら歩く・・というのが日課となるのですが、せっかく12時間近くもかけてフランスまで行ってそれだけじゃあ・・・ってもんです。
というわけで、買い付け以外のイベントをひとつ入れることにしているのですが、今回はノルマンディーのバイユーという街に、有名なタピスリーを見に行きました。
タピスリーというのはフランス語で、英語ではタぺストリーといいます。つづれ織りの布のことです。世界3大タピスリーと呼ばれている有名なタピスリーは3つともフランスにあります。ひとつはパリのクリュニー美術館にある『一角獣と貴婦人』。2つめはアンジェという街にある『ヨハネの黙示録』。そして3つめが今回見に行ったバイユーのタピスリーです。
このバイユーのタピスリー、実はつづれ織りではなく刺繍作品なのです。約50cmの幅でおよそ70mありす。征服王ギョームのイングランド征服の物語がえんえんと刺繍で表されています。麻の生地にウールの糸で刺繍されているもの。世界的に有名なこの刺繍作品は、刺繍オタクのわたしの『いつか見たいもの』リスト中、常に上位にいたもので、今回やっと念願叶ってご対面となったのです。
もちろん、タピスリーは素晴らしかった。本当に。でも、それ以上に、このタピスリーが街の観光事業最大のもので、それにかける人々のやり方(というか、手口?)がかなり印象的でした。
そのやり方はまた次回に。

写真はタピスリーの建物に行く途中にあった看板。シンプルでかわいい。